やりたいことってなんだろう? 自分を偽らず、本音を言えること。人に何を言われても、「自分の人生だから」と言い切れる強さ。 あれほどハマった卓球を「嫌い」になってから、自分がやりたいことを模索してきたユミさんと、「#わたしを解放するアンダーウェア」。 |
■Yumi’s profile

━━Anknot &iesを知ったきっかけを教えてもらえますか?
知人のSNSでシェアされていて、(クラウドファンディングの)サイトを見に行きました。正直、私は下着には興味はなかったのですが、ブランドのコンセプトにいちばん惹かれて。知人が応援しているブランドということもあったし、応援しようって。私も、世間一般の日本女性のイメージに違和感を覚えていた人間だったので、そこに共感して、応援したいと思ったのがきっかけです。
自分と“世間”とのギャップ
━━“違和感”というのは、具体的にどんなことですか?
20代後半、28,29歳とかになると、女性は・・・。自分でこの言葉を言うのも嫌なんですが、周りから言われるので言いますね(笑)。30代近くになったら、そろそろケッコン、コドモは?と。
身内から言われるのはまだしも、会社の人とか、それをあなたが知ってどうするの?と。それがそもそも嫌で、この人に関係ない、私の人生なのに、と思っていました。
一つのコミュニケーションかもしれないですが、「世間一般のイメージ」がそうなんだろうな〜って。「女性の働きやすい環境を」と言うけれど、子どもが欲しい、欲しくないは人それぞれ。そこで少子化とか、世間と(個人のニーズと)のギャップに当てはめられてもな…という。
━━たしかに、一般的に、女性が働きやすい=子どもがいることが前提(子どもがいても、働きやすい)という文脈はあるかもしれないですね。
(周囲からの)いろんな声もありつつ、でも自分の人生だから。なんで言われなきゃいけないんだろう?っていう。(笑)

本音を言えることが「解放」だと思う
━━結婚も、子どもも、「普通は」女性は求めているもの、と思われてしまう。ユミさんは、そうじゃない、自分の人生だから、と強く思うのには何か理由があるのですか?
確かに、結婚して、子ども欲しいっていう方が多いと思う。けど、私はそうじゃなくて、子どもを欲しいと思ったことがないんです。子どもが好きじゃないというのもあるんですけど。
最近は甥っ子ができて、少しは考えが変わりました。なかなか会えないからこそかわいいなあ、とは思うし、本当に好きな人の子どもだったら、欲しいな、ぐらいの感覚には。でも、「絶対結婚したい」とかはない。自分の人生で考えたときに、子どもが必要だとか、絶対に欲しいとかはないんですよ。
━━私も、20代後半、色々と悩んだり焦ったりもしました。そういった思いの部分に共感していただいた?
そうですね。人って、自分をある程度は繕って生きているとは思うので、いろんな自分のキャラはあっていいと思うんです。会社にいる自分、友人といる時の自分、飲み会での自分。どういうキャラでも自分は自分だとは思うのですが、本当に自分が本音を言える人だったり、時間だったり。私にとっては、本音を言えることが「解放」だと思ってる。
私はありがたいことに、そういう本音を言える人がいるし、嘘はつかずにいられていることが多いので。
色合い、一つひとつ違う顔に惹かれた
━━下着にはあまり興味がなかった、ということだったのですが、実際に購入いただいて、気に入っていただいた部分はありますか?
パッと見て、色合い。染め物なので一つひとつ違う表情という、そういうのが好きで。同じものでも、一個一個違うデザインだったり、模様だったり。唯一無二というか、購入の決め手はそこだったかもしれないです。

━━実際に着ていただいて、どうですか?
着心地、すごく良いです。締め付けられてる感がないですし。シースルーの黒のトップスを着て、その下に着るっていう、その合わせが個人的にすごく好きで。
━━うれしいです!ありがとうございます。「下着」にはあんまり興味がなかった、ということですが、あんまり気にしない?というか、どんな感じで選んでいますか?
今までは、色々、というか、小さくてサイズがあんまりないので。サイズがあるところで、着けていて苦しくないもの。
━━ちなみに、私、自分よりも胸が小さい人を見たことないのですが(笑)、Anknot &iesのワイヤーブラに関しては、自分がいちばん欲しかったフィット感で。カップ浮きしないし、何より一日つけていても快適。小胸さんには絶対おすすめなので、今度試着してみてください(笑)。
ずっと、(胸のサイズを)コンプレックスって思ってきた訳ではないんですけど。ずっと卓球をやっていたから、むしろない方が、動きやすいし。
━━分かる!走るとき、揺れないとか(笑)。
そうそう・・・!(笑)目立たないし、動きやすいし、現役で(卓球を)やっている時はそれで良かったんです。
ただ、大学生や社会人になって、「あれ?」って(笑)。これは、コンプレックス、なのか?と思ってきたのですが。かといって、別にブラにこだわりがあるわけではなく。見せるものじゃないし、いっか、って。
コンプレックス、とは言わなくとも
━━卓球は、いつ頃からやっていたのですか?
始めたのは、小学2年生です。本当に習い事の一つでやっていたのですが、小5の夏の県大会で負けたのが、悔しくて。それまでもいっぱい負けているし、優勝もしたことがなかったのですが、負けて初めて「悔しい」と感じたのが小学5年生で。
そこから、県ナンバーワンのチームに練習に行かせてもらうようになってから、卓球一筋で。小6の時に県大会で優勝し、中学・高校は、卓球で強豪の県外の学校に行かせてもらいました。
━━すごい。小5の時の経験が、よっぽど悔しかったんですね。
悔しすぎて、父親がコーチだったんですけど、口を利かなかった記憶がありますね(笑)。卓球をやっていたのは、高校3年生まで。卓球が嫌いになりすぎて、大学ではやってないです。上には上がいる。周りが強い世代だったこともあって、勝てない、と思って諦めましたね。

━━(卓球をやめてから、バストについて)コンプレックス、なのかな?と思ったというのは、自分がコンプレックスに感じたというよりは、周りからとか、でしょうか?
どうしても、周りと比べてしまう癖があって。違う人間と分かっていても、なんか比較して、落ち込むまではいかないけれど、(コンプレックスなのかも、と)思ってましたね。
━━合う下着がない、とかもありますよね。
お店で買うのが恥ずかしくて。測ったことないんですよ。本当は測った方がいいんだろうな、と思うのですが。
━━フィッティングもしてもらったことないですか?
ないです。だから自分のサイズ分からないです、本当のサイズ?
━━フィッティングは絶対してもらうと良いですよ!してもらうと本当に変わるので。
私も、「(小胸すぎて)あなたに合うサイズはないです」って言われるんじゃないか…とか、フィッティングで「全然合ってないですね」とか言われそうで見せるの怖くて(笑)。でも、25,26ぐらい?のときに初めてお店でフィッティングをしてもらって。そこで、やっと自分にフィットするブラのサイズが分かりました。
胸が小さいからとにかくAカップ、と勝手に思い込んでましたけど、ワイヤーブラのサイズって、胸のボリュームだけじゃなく、骨格にも合わせる必要があるんです。専門用語的には「バージスライン」といって、胸がどこから始まっているかという、ここにワイヤーサイズを合わせる必要がある。
考えてみたら当たり前なんですけど。例えば身長170cmの人と150cmの人では、骨格が異なるので、同じ胸のボリュームでも、同じサイズでフィットするはずないんですよね。
断続的なキャリアの中で
━━今、お仕事は何をされているのですか?
今は、営業のアシスタントをしています。キャリア的にいうと、本当に私仕事が続かなくて。大学卒業後に新卒で入った会社は、医療機器の商社で営業をやっていました。仕事は楽しかったです。
━━楽しかったけど、やめてしまった?
多分、尖っていたんですかね、23,4あたり。上司と合わなくて。自分が正しいと思った意見を、そのまま言ってしまう。人間関係が下手すぎて(苦笑)。
数字はちゃんと残していたし、自分はちゃんとやっている、と思っていた。でも、結局蓋を開けてみれば、年功序列の会社だったんです。あるあるだとは思いますが。
転職活動をして、最終選考まで進んでいたのですが、自分が本当にしたいことってなんだろう?と。結局、選考を辞退してフリーターに。半年ぐらい、いろんなバイトを掛け持ちしてました。
━━フリーターになるのは、結構勇気がいりますよね。
言われましたね、周りからは、「ダイジョウブ?」って(笑)。

━━どんなバイトをされたのですか?
お酒に合うパンを売っているパン屋さんとか、当時大阪にいたので、京セラドームで報道陣や球団関係者が利用するレストランで調理補助をしたり。あと、卓球バーでも掛け持ちで働いていました。
アルバイト先の卓球バーで知り合った社長さんが、通信事業をやられていたのですが、「スポーツ事業をやっていきたい」というので、そこで入社することになりました。
ちょうどコロナ前ですね。他の社員はメインの通信事業の方をやっているので、私はスポーツイベントの企画から運営、集客など、そもそもどうやってやったら良いかも分からない中で、ほとんど一人でやっていました。
━━なかなかきつそうですね。でも、楽しかったですか?
キツかったですね。どう評価されるかも分からないし、売上を上げてくるポジションではなかったので、どうアピールしたら良いかも分からなくて。その後、コロナ禍でイベントもできなくなり、何をしたら良いか分からなくなってしまって。自分の存在意義を見失ってしまって、このままじゃダメだな、と思って退職し、そこから派遣の仕事を始めました。その後、大阪から東京にきました。
新たな出会いと、ずっと心の中にある思い

東京駅 photo by YUMI
━━大阪から東京に出てきたのは、結構大きかった?
だいぶ変わりました。大阪の大学に3年で編入させてもらい、卒業してからはずっと大阪にいたんですけど、なんかずっとモヤモヤしていて。
━━フリーターになって、「自分のやりたいことってなんだろう」って考えたという話がありましたよね。何か、見えてきたことはありますか?
正直、続けられないんですよ、物事を。仕事もそうですが、すぐに飽きてしまって。自分は何をやりたいんだろう?って、ここ最近も思っていて。
ただ、卓球だけ、続けられたんです。そこまでハマるものが(卓球以外には)なくて。
ですが、つい先日の出来事なのですが、人の繋がりで、国産の無農薬レモンの卸や、レモンを使った商品販売をしている方のイベントのお手伝いを最近させてもらっていて。そのレモン事業と、卓球日本代表の早田ひな選手のコーチとがSNS繋がっていることを知りました。
コーチが選手に、毎朝100%果物と野菜ジュースを作っているらしいんです。それで、美味しいレモンないかな、で探して見つけたのが、その無農薬の国産レモンだった。
そういう話の繋がりから、「卓球に携わる仕事とかしたいと思わない?」と、聞かれたんです。
その方(レモン事業主)も元々サッカーをやっていて、サッカーがめちゃくちゃ好きらしいんです、(いつか)Jリーグとコラボして選手を支えるプロダクト出したい!と。スポーツ栄養学にのっとって、レモンを使った、スポーツ選手のためのプロダクト。
それは、ありかも、と思って。今はスポーツ栄養学を勉強しつつ、例えば選手の試合前・試合中・試合後にとった方が良いものなどを勉強して、商品開発できたらな、と。一つ、やりたいことが見つかりました。

「いま」自分が感じる瞬間を大切に
━━今後もイベントのお手伝いをしながら、ゆくゆくは商品を作ったり、卓球に何かしら携わることをしていけたらいいな、と思っている?
いつかは、卓球界に恩返しできることをしたいってずっと思っていて。それは変わらず、今も思い続けていること。指導者になりたいとかは思わないけれど、選手を支える側として何かしたい、とは思っています。どういう形になるかは分からないし、形はこだわらないですが。
━━なぜ恩返しがしたい、と思うんですか?
卓球は(競技者としては)嫌いになってしまったんですけど(笑)、そこまで一生懸命になった競技だからこそ、世の中に知ってほしい。卓球人口って日本では多いのですが、卓球の地味なイメージを変えたいというか。最近でこそ、メディアに取り上げられるようにもなりましたけど。
━━色々やる中で、戻ってきたところは卓球だったんですね。今ユミさんが一番興味があるのは、仕事?
仕事、かなあ…。あと、最近カメラを買いました。
初心者なんですけど、写真を撮ろうかと。(買ったカメラは)RICOHのGRⅢxです。知り合いの写真家の方がYouTubeで紹介されていて、コンパクトなのと、見た目の好みで選びました。

写真を撮っているときは、無になれるんです。家で一人の時間は結構あるのですが、どうしてもいろんなことを考えてしまう。それは無の時間ではないな、と。
外に出たとき、空を見上げる癖があるんですが、今日こういう空だな、とか雲だな、とかに結構幸せを感じるタイプ。「あ、今日も生きてる」みたいな感覚になるのが好きで(笑)。
その瞬間を、写真に収めたい、と思って。いろんなところを出歩いて、写真を撮りたいなって。
写真やカメラのことは全然詳しくなくて本当に初心者なんですが、シャッターを切っているときだけは無になれる。このことだけに集中できる瞬間が、すごく好き。

photo by YUMI
━━写真、良いですよね。一人の時間には、特に。
最近はスマホのカメラの機能も良いと思いますが、スマホだと、SNS気にしちゃうんですよ。通知とか。だからそういう時に、やっぱりカメラはいいなって。
━━ユミさんが大切にしていることって、なんですか?
自分の人生を生きること。自分の心に正直になる。それを、一番大事にしています。周りの意見とか、家族の思いとか、あると思うんですが、それは受け取って、でも自分はこうしたいっていう自分の気持ちを大事にしたい。それを言葉にして伝えることで、「自分自身」を大切にしています。

photo by YUMI
〜編集後記〜
自分は何をしたいのか、どう生きたいのか。迷っている渦中は、苦しい。自分をごまかしたり、偽りたくもなる。そういう自分自身も受け入れて、「いまこの瞬間」、自分が本当に感じていることを大事にしたい、というたくましさがユミさんにはあった。
だって、「自分の人生だから」。
インタビュー後、飲み屋で隣席したおじさんに「あんたはね、日光駅の隣だよ!(=今市(イマイチ)駅)」と絡まれるユミさん。たくましい女性の魅力は、揺るぎない。

Yumi's life is to be continued...